SES採用レポート2026(上半期)|エンジニア採用市場・応募率・成功事例
1. 2026年上半期(1月~6月)のエンジニア採用市場
1-1. 求人倍率は3.2倍、市場は「量」から「質」へ
厚生労働省の一般職業紹介状況をもとにした集計では、2026年5月のITエンジニアの新規求人倍率は3.2倍となりました。2026年に入って4月の2.6倍まで低下が続いていたものの、5月には再び上昇に転じており、企業の採用意欲そのものは底堅く推移しています。
一方で、前年同月の3.4倍と比べると0.2ポイントの低下です。この数字が示しているのは、需要の消失ではなく、企業が求める人材像の厳格化です。人数を追う採用から、個々のスキルをシビアに見極める採用へと、市場全体の重心が移りつつあります。 SES企業にとって、この変化は二面的です。エンドクライアントの要員要件が上がることで、自社の採用においても「誰でも良い」という採り方が通用しなくなっています。
1-2. 求人は微減、応募は増加。母集団形成の好機
求人と候補者の需給バランスにも変化が見られます。転職サイトtypeにおける2026年6月のITエンジニア求人数は0.9倍(2025年1月を1とした場合)と、大きな増減のない安定した水準で推移しました。これに対し、応募数は全体で1.3倍、20〜30代に限れば1.4倍と増加しています。
dodaの登録者データも同様の傾向を示しています。2026年3月〜5月の登録者数は、直前3カ月と比べて業務系SE/PGが113%、サーバエンジニアが113%、ネットワークエンジニアが108%と、いずれも増加しました。年度末の評価結果や年度初めの異動を契機に、キャリアを見直す層が顕在化したことが背景にあると考えられます。
一方、同期間の求人数は業務系SE/PGが95%、サーバエンジニアが97%、ネットワークエンジニアが95%と、いずれもやや減少しています。
つまり、エンジニアは増え、競合求人は減っている状態です。上半期は、母集団形成の観点では追い風の局面だったと言えます。
1-3. 「4人に1人」が転職を視野に入れる時代
LAPRASの調査によれば、「転職活動をしている」「情報収集を始めている」と回答したエンジニアの合計は23.2%にのぼり、前年の19.4%から3.8ポイント上昇しました。およそ4人に1人が転職市場に目を向けている計算です。
また、これまでに1回以上の転職を経験しているエンジニアは約7割に達しています。転職はもはや例外的な選択肢ではなく、キャリア形成の標準的な手段になっています。
企業にとっては、アプローチできる候補者が増える好機であると同時に、自社の在籍エンジニアも常に他社から声をかけられているということでもあります。採用と定着は表裏一体の課題です。
1-4. 生成AIが採用要件を押し上げた
上半期の市場を語るうえで避けられないのが、生成AIの浸透です。業務でAIを利用した経験があるIT人材は67.8%に達し、前年から約1.5倍に増加しました。AIエージェントの利用者も全体で29.9%、20代に限れば48.9%と、若手層を中心に急速に広がっています。
この変化は、採用の現場に二つの影響を及ぼしています。
企業側:コーディングを主業務とするメンバークラスの求人数は減少傾向にある一方、リーダー・マネジメント層への採用ニーズは高い水準を維持しています。
候補者側:技術力だけでは将来的な競争力に不安を感じる層が増え、上流工程の経験やスキルアップを求めて転職を検討する動きが活発化しています。
SES企業の採用においては、この「候補者側の不安」が重要な訴求の切り口になります。案件の選択肢の広さやアサインの考え方を具体的に示せる企業は、AI時代のキャリア不安に対する明確な回答を持っていることになるからです。
2. SES企業が直面している2つの構造的課題
2-1. エンジニアのキャリア転向
社内SE、自社開発へのキャリア転向を希望する転職希望者のうち、現職がSESやSIerである人材の割合が高い現状があります。業界構造上、指示に基づく業務やプロジェクト成功の恩恵を受けにくいことが、その背景にあると分析されています。
言い換えれば、SES企業は「エンジニアが抜けていく側」として市場に認識されているということです。この構造を前提にしない採用広報は、候補者に届きません。重要なのは、この認識を否定することではなく、自社がその構造にどう向き合っているかを具体的に示すことです。
案件選定の考え方、上流工程への関与機会、プロジェクト成功の恩恵、キャリア面談の仕組みといった実態を、抽象的な言葉ではなく具体的な言葉で語れるかが問われます。
2-2. 理想と現実のギャップが転職の引き金になる
働き方についても、無視できないギャップが存在します。実際にフル出社をしているエンジニアは29.2%である一方、フル出社を理想としている層はわずか14.8%にとどまります。逆に、フルリモートを理想とする層は25.2%で、現実の17.1%を大きく上回りました。
週1〜3日の出社を組み合わせるハイブリッドワークを理想とする層は、合計で53.6%に達しています。※フルリモートとハイブリッドワークを合計した希望者は85.2%
SESは常駐先の方針に働き方が左右されるため、この点を完全にコントロールすることはできません。だからこそ、リモート可能な案件の比率や、働き方を考慮したアサインの実態を伝えることが重要です。
3. 媒体別の実態 ── RELIALの運用データから
ここからは、当社がSES企業様の採用支援において実際に運用している媒体のデータをもとに、媒体ごとの特性を整理します。市場動向を踏まえたうえで「どこに出稿し、どう運用するか」を判断する材料としてご活用ください。
3-1. 運用実績のある媒体
当社での、運用実績媒体を一部抜粋したものが以下になります。求人広告型・スカウト型を横断して運用しているため、企業規模や採用ターゲットに応じた比較検討が可能です。
| 区分 | 媒体 |
| 求人広告型 | エン転職、doda広告、type、マイナビ転職 |
| スカウト型 | エン転職ダイレクト、dodaダイレクト、ビズリーチ、AMBI、ヤギオファー、Wantedly、Openwork、Green、レバテック、Forkwell、Geekly など |
3-2. 採用人数を担保しやすい媒体ランキング
当社の運用実績にもとづき、SES企業様において採用人数を安定的に確保しやすい媒体を順位づけしたものが下表です。単純な応募数ではなく、採用決定までの再現性の高さを基準としています。
| 順位 | 媒体 | 評価のポイント |
| 1位 | エン転職ダイレクト | プレミアムスカウトで上位表示されるため応募を獲得しやすく、 エンジニア登録者に対して利用企業が少ないため競争率が低い |
| 2位 | Green | エンジニアの登録人数が最大規模。月1,000通のスカウト配信が可能で、母集団を量で確保できる |
| 3位 | dodaダイレクト | プレミアムスカウトにより応募獲得力が高い。エンジニア数は多いが利用企業も多く、一定の競争がある |
| 4位 | type | 幅広い年齢層から応募が集まり、求人広告のなかでは自然応募からの採用に最もつながりやすい |
| 5位 | ビズリーチ | エンジニア登録人数が多く、流通スカウト数が少ないためスカウトが埋もれにくい |
3-3. 主要媒体の特性と運用のポイント
媒体は「どれが優れているか」ではなく「自社の規模・時期・ターゲットに合っているか」で選ぶべきものです。主要5媒体について、特性と運用上の要点を整理しました。
■ エン転職ダイレクト
プレミアムスカウトとして上位に表示されるため、応募が獲得しやすい媒体です。エンジニアの登録者が多い一方で利用企業数が少なく、競争率が低い点が最大の強みです。開発エンジニア・インフラエンジニアの両方の採用に有効です。
■ Green
エンジニアの登録人数は媒体のなかでも最大規模です。月1,000通のスカウト配信が可能で、多くのエンジニアにアプローチできます。スカウト付与数も最大級であるため、日々こまめにスカウトを配信し続けられるかどうかが成果を分けます。運用工数を確保できる体制があるかが導入判断の分かれ目です。
■ dodaダイレクト
エン転職ダイレクトと同様にプレミアムスカウトとして上位表示されるため、応募を獲得しやすい媒体です。ただしエン転職ダイレクトとの比較では、エンジニアの登録者数が多い一方で利用企業も多く、一定の競争が生じます。スカウト文面の差別化がより重要になります。
■ type
幅広い年齢層から多くの応募が集まる媒体です。求人広告のなかでは、自然応募から採用につながりやすい媒体として高い評価をしています。スカウトからも同様に応募が期待できます。40代後半から50代の応募も多いため、ミドル層・シニア層の採用を検討する場合の第一候補となります。
■ ビズリーチ
Greenと同様にエンジニアの登録人数が多い媒体です。他媒体と比較して付与されるスカウト数が少なく、また企業の利用料が高いため、エンジニアが受け取るスカウトの総数はそれほど多くないと推測しています。結果としてスカウトが埋もれにくく、一通あたりの到達率が高いことが特徴です。
| 媒体選定で押さえるべき視点 ①エンジニア会員数と採用決定数は一致しません。ライバル企業数まで含めて判断する必要があります。 ②スカウトは運用工数が成果に直結します。体制を確保できるかを考慮し選定することをおすすめします。 ③採用要件によって有効な媒体が異なります。年齢・経験ごとに媒体を分けて設計することを推奨します。 |
4. SES企業が採用を成功させるために大切なこと4選
4-1. 企業規模・時期に合った適切な媒体選定
媒体には、それぞれ得意とする企業規模・職種・年齢層・ターゲットがあります。同じ予算でも、選定を誤れば応募は集まりません。
たとえば、運用工数を十分に確保できる体制があるならGreenのスカウト量を活かせますが、そうでなければエン転職ダイレクト・dodaダイレクトのように競争率が低く一通あたりの効率が高い媒体のほうが成果につながります。ミドル層を狙うならtype、インフラ人材を厚く採るならエン転職ダイレクトというように、目的から逆算した選定が前提となります。
また、時期による変動も見逃せません。効果の出やすい媒体は、数か月スパンで変わっていくため、その時期に最も効果の高い媒体を選ぶ必要があります。
4-2. 差別化を駆使した求人票・スカウト文面
求人票において「DX」「デジタル」「AI」といった抽象的なワードでは、他社との差別化は困難です。採用の背景、目指したい姿、現状の課題と目標を具体的に情報提供することが求められます。
SES企業の場合、特に有効なのは次の観点です。
・どのような案件に携われるのか、扱える技術は何か(具体的な案件名や技術スタック)
・エンジニアのキャリアを考慮してアサインする仕組みがあるか
・資格取得やスキル習得に対するサポート体制
・自社で経験を積んだ先に、どのようなキャリアパス(年収推移)が描けるのか
・リモートワークの可否と頻度、フレックス制度、残業時間の実態
前述のとおり、候補者の多くはSESという業態に対して下流工程が多いという認識を持っています。その認識を上回る具体性を提示できたときに、はじめて差別化が成立します。
4-3.返信可能性の高い対象者へのスカウト配信
スカウトは、送った通数ではなく届いた通数で評価すべきものです。最終ログイン日やWebレジュメの記載内容から、いま実際に動いている候補者を見極めて配信することが、返信率を大きく左右します。
市場では約4人に1人のエンジニアが転職を視野に入れていますが、裏を返せば残りの多くは現時点で動いていません。全体に広く配信するのではなく、行動の兆候がある層に絞り込むことで、限られたスカウト枠と工数を成果に変えられます。
また、選考基準の厳格化が進むなかでは、要件との適合度が高い候補者にあらかじめ絞ることが、後工程の歩留まり改善にもつながります。
5. 下半期に向けて
2026年上半期のエンジニア採用市場は、求人倍率は高水準を維持しつつも前年からは低下し、企業側の選考基準は明確に引き上がりました。一方で、転職を検討するエンジニアは増加しています。
下半期は、夏の賞与を受け取った層が本格的に動き出し、10月入社を見据えた採用シーズンを迎えます。上半期以上に候補者の動きが活発になる一方、同じタイミングで各社の採用活動も加速するため、競争環境も同時に厳しくなります。
この局面で成果を出すために必要なのは、基本の精度です。適切な媒体を選び、差別化された訴求を用意し、動いている候補者に届け、素早く対応する。この一連の運用を、職種ごとに設計して回しきれるかどうかが、採用人数の差になって表れます。
RELIALができること
当社は、SES企業様のエンジニア採用に特化して支援を行っています。求人広告型・スカウト型を横断して30媒体以上の運用実績を持ち、それぞれの媒体特性と、どの企業規模・どの職種で成果が出るかを実データとして蓄積してきました。
媒体選定から求人票・スカウト文面の作成、配信対象の選定、日々の運用と改善まで、採用活動の一連の流れを伴走してご支援します。
・自社に合った媒体がわからない、現在の媒体で成果が出ていない
・ 応募は来るが、書類選考や面接の通過率が低い
・スカウトを送っているが返信率が上がらない
・ 採用担当のリソースが不足しており、運用まで手が回らない
こうした課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に応じた具体的な打ち手をご提案いたします。
出典一覧
・パーソルキャリア株式会社「ITエンジニア中途採用マーケットレポート(2026年6月発行)」
・レバテック株式会社「レバテックIT人材白書2026」
・レバテック株式会社「IT人材のキャリア意欲に関する実態調査」(2026年3月)
・レバテック株式会社「新卒エンジニア採用実態調査」(2026年1月)
・株式会社キャリアデザインセンター「ITエンジニアの有効求人倍率は?2026年6月の最新動向と採用のコツを解説」
・厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」
※レポート内の媒体別データおよび評価は、RELIAL株式会社の運用実績にもとづくものです。
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